ノストラダムスの大予言は本当だったのだ!
1999年、7月某日。
それは舞い降りた。
一枚の花びらのように、落ち葉のように、音もなく。あるいは一つの音を鳴らして。
それは現れた。
烈火のごとく、燻った煙草のように、赤い鉄を背中に一雫垂らしたような痛みを持って。
斯くして、アンゴルモアの大王は蘇る。
大いなる力を持って、この地を支配するために!
心身共に健康でなくてはいけません。きちんと食事は摂れていますか?きちんと睡眠は摂れていますか?できていない方は、一日三食、早寝早起きを少なくとも二週間以上続けるように。(〜異能手術の手引き〜 はじめに:異能手術をするまえに。より一部抜粋)
・個人差はあるものの、一定の年齢(大体12~16歳)に達すると、異能が顕現するようになる。
・異能が顕現する予兆として手の甲に【 五芒星の中心に目を模した炎が描かれた紋様 】が浮かび上がる。
・顕現の際には、背中の一部分に強い熱と痛みを感じる。また、顕現した直後は背中の一部分に血管が浮き上がるが、数時間後にはもと通りになる。
・初めて異能を発現するときは、必ず管理者の元で行うこと。
#1 「金の成る木を育てる」異能
ある少女は異能の使用過多により、人体の半分が樹木と化した。我々は治療を目的とした実験を幾つか行った。
“ 学校の先生がね、いっぱい使うと、カイブツになっちゃうよっていってたの。でもワタシ、お母さんによろこんで欲しかったから、いっぱい使ったの。そしたら、頭がクラクラして、まえも見えなくなっちゃって……でもね、お母さんが足りないっていうから、がんばったの。そしたら、そしたらね。こうなっちゃったの。……ねえ、先生。ワタシ、もとに戻れるかな? ”
───異能の使用を止めることで、大きく回復したものの、乱入してきた母親によって実験は中止。少女は「金の成る木」となり、今も庭の隅っこにぽつんと立っている。